ご挨拶
近年,デジタル化されたパノラマエックス線検査や口内法エックス線検査のみならず,エックス線CT(Computed tomography)やMRI (Magnetic resonance imaging : 磁気共鳴画像検査法) 検査が広く日常歯科臨床にも普及しました。特に,平成24年4月の保険導入による歯科用CTの普及に伴い,歯科開業医でも口腔インプラント治療や顎関節治療を中心に,これら先進画像機器を日常臨床に応用する先生が増加の一途を辿っています。
本邦の歯科用CT販売台数が13000台を超え,数年前の歯科用CT販売台数が日本8000台,韓国3000台,台湾1000台という数字が古い数字となり,現在,日本は世界一の歯科用CT保有国になっています。また,これらデジタル画像機器の応用ばかりでなく,患者データを中心とするDICOM等の各デジタルデータの統合化も全世界で加速しています。今後もデジタル機器によるDICOMやCAD/CAM等の個々の医療データのみならず,患者の医療データを統合する動きは,我々歯科領域も含め,さらに加速すると考えられます。これらの動きは,個々の患者の受診データや画像,薬剤,栄養情報等の個々のデータばかりでなく,各医療施設間の医療情報システム全体の統合化でもあり,地域格差を解消するうえでも,超高齢化を迎えた日本の医療には重要な医療情報の統合化になると考えられています。
しかしながら,歯科臨床医がCTやMRI等の先進画像モダリテイーやデジタルワークフロー等の画像診断に関する基礎的な知識や正常解剖および読像,またシミュレーション作成等の,近年の先進歯科画像を基本から学ぶ機会はあまりにも少ないように思われます。また歯科用CTをお持ちの多くの40代以上の年齢の開業医の先生方が学生時代にCTの原理や特徴および読影をあまり学んでいない状況であり,そのような背景のもと,各方面の臨床医の多くの先生方の強い要望により,先進歯科画像研究会(ADI)は,2017年7月23日に会を発足することになりました。
ADIは会員相互並びに国内外の関連団体との交流を深め,国民に対して安全,良質な歯科医療を提供するために先進歯科画像やデジタルソリューションの普及を図るとともに,それにより国民の健康増進及び福祉向上に貢献することを目的としています。
歯科治療の成功に欠かす事の出来ないコデンタルスタッフやメディカルまで視野に入れた研究会を通して,これからの日本の歯科医療の未来図を参加者にお示しするべく,ご協賛いただく企業様と共にこれまでにない発展型の研究会を推進していきます。